令和3年4月より鹿角市議会議員の笹本真司です。活動情報を発信します!

笹本の一般質問 ③3歳以上保育園児への主食提供

◯3歳以上の保育園児への主食提供について
【笹本質問】鹿角市の公立教育・福祉施設児童に提供される給食は、中学生までの間で唯一3歳以上の保育園児は完全給食でなく主食持参となっている。児童の食育や衛生面、また様々な家庭環境への配慮を考えると、有償・無償はともかく、3歳以上の園児にも完全給食の提供を検討すべきと考えるが市の考えを伺う。また、保育園に関しては、日常的な職員と保護者のやりとりだけでなく、定期的なアンケート調査という形で保護者の声を吸い上げ、現場の感覚的なものだけでなく、数字に落とし込んでよりよい 運営を議論できるような仕組みを取り入れるべきと考えるが市の考えを伺う。
【市長答弁】3歳以上の保育園児への主食の提供につきましては、これまでも保護者からの要望があり、検討を進めております。その実現には、調理機器、食器、食器保管庫等を購入する必要があるほか、設置場所や作業スペースの確保も必要となります。そのため、施設によっては、調理室の拡張が必要となることから、敷地や建物の構造に制約がある中で、改修工事が可能であるか調査する必要があります。
また、実施する場合は、平等の観点から、公立施設だけでなく、私立施設もあわせて主 食を提供していただきたいと考えておりますので、こうした課題を踏まえ、実現性を見極 めてまいります。
また、保護者を対象としたアンケート調査については、これまでも、園行事を行った際 などに、必要に応じ実施しているほか、保護者会の場や各施設の玄関に意見箱を設置しており、保護者のご意見やご要望を受け付ける機会を設け、運営に活かしているところであります。

<補足>

考えるにあたっての論点の優先順位は以下だと思っています。

1. 鹿角市の児童にとって、より好ましい給食提供方法はなにか

2. それに伴う負担のあり方

3. 具体的な提供体制と運用

全国的には主食も副食も提供をする完全給食を実施している保育園・幼稚園が増えています。ただし、給食制度比較する際には【提供方法】と【費用の負担】の2つの面を見ることが必要です。現状の国の制度では基本的に保育園の給食費は保護者の負担ですが、鹿角市においては副食費は市が負担しているので基本的に無償(※)、保護者は実質的に主食のみ負担しています。保護者の給食費負担という面では、鹿角市は全国的にみて充実した自治であると思います。現状を整理すると下のような図になり、さらに私の提案も続けて列記します。

※厳密にいうと、所得水準・第2子以降等の条件で国や県の副食費支援制度があり、そこでの対象とならない部分を市が負担

都道府県によっては、ほぼ全ての自治体が完全給食を実施しているところもあるようですが、主食・副食どちらも保護者負担が発生する(私が調べた感覚では、主食:1000円前後、副食4500円前後)ところも多いです。近年、秋田県内の自治体においては、鹿角市と同じ副食無償・主食持参とする傾向があるようです。

また、完全給食を実施する自治体では基本的に、アレルギー・宗教上の理由などにより家庭からの持参を希望する場合などは、申請すれば提供を辞退できるようです。参考→白岡市立保育所の完全給食の実施に関する規則

主食提供を要望されている鹿角市民の保護者の方と一緒に調査した中で、完全給食を実施している全国7市町村の担当部署や市議会議員の方から、問い合わせに回答いただきましたが、児童への温かい地元産米の提供、衛生面向上、保護者負担軽減、格差是正などメリットが多く寄せられ、デメリットというか懸念として挙がったのは「朝食の簡素化懸念(朝炊飯しないことによる)」のみでした。なお、偶然かもしれませんが、調理スペース等の拡大・改修が必要となったという回答はありませんでした。

また、身の回りの鹿角市内の保護者および保護者経験者(いずれも母親。父親視点はまた違うかもしれません)から聞き取った限りでは、

◯主食提供賛同意見:

a. 特に夏の衛生面が心配

b. 朝炊飯して冷ますなど家事負担軽減(共働き世帯・お子様が多い家庭ほど)

c. 炊き立ての温かい地元産米を食べて欲しい

◯主食提供不要意見:

a. ご飯を子供に持たせ、帰宅後の返却や残食具合から保護者と子供のコミュニケーションや、健康状態把握につながる

b. フードロスの心配

c. 今の支援で十分(保育園の現場作業負担、市の負担増加を懸念)

なお、”当たり前で考えたこともなかった”という方も一定数おられました。

主食提供不要意見の中のbとcに関しては、具体的な提供体制と運用方法・負担のあり方の問題ですので、最適解を見つけて克服できるのかなと思います。お子様の家庭環境は様々なので、なるべく平等に、伸び伸びと、美味しく安全な食事をお腹いっぱい食べられる環境が子供にとって理想的なのではないかと、私は考えます。

<参考>

2020年から3歳以上も公立保育所での完全給食が実施となります。 | 枚方市議会議員 木村亮太

那須町の公立保育園 4月から完全給食化|地域の話題,政治行政|下野新聞「SOON」ニュース|下野新聞 SOON(スーン)

那須町(完全給食開始の広報) https://www.town.nasu.lg.jp/manage/contents/upload/6296ec616eac1.pdf

泉崎村保育所の完全給食 給食について|泉崎村保育所

京丹後市

4月から公立保育所・こども園において完全給食を実施します/京丹後市

横浜市での現場の主食提供取り組み https://www.city.yokohama.lg.jp/city-info/seisaku/torikumi/shien/tyousakihou/160.files/0022_20191119.pdf

保育所等の運営実態に関する調査結果 <速報> 平成31年1月28日 (給食はP17〜)

https://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/meeting/kodomo_kosodate/k_41/pdf/s8.pdf

※調査対象:全国の私立の保育所認定こども園・地域型保育事業所:公立ではないので単純に比較は難しいですが、この調査では3歳以上の児童への主食提供施設は約75%です。

保育所等の運営実態に関する調査結果 <速報> 平成31年1月28日 P18抜粋