児童数減少のため、来年度いっぱいで閉園予定の大湯保育園について、複数の議員による一般質問で、小規模保育事業を活用するなどして存続すべきとの意見が出ておりましたので、以下調べてみました。
<大湯保育園の現状>
令和5年9月の在籍児童数:40人
令和7年の在籍児童数見込み:17人
→令和6年度末での閉園を判断
<小規模保育事業とは>(児童福祉法第6条の3第 10 項に定義)
6人以上19人以下の利用定員で保育を行うもので、原則0~2歳児が対象
年齢制限の根底には、
「3歳児以降は基本的に集団生活の中で育つことが発達段階として重要」
という考え方があるようです。
また、もともとスペース確保が難しい都市部での待機児童解消が背景にあり、過疎地域の児童数減少を想定した事業ではないようです。
しかし、昨今は様々な環境の変化から、3歳児以降についても、受け入れ条件が徐々に緩和されてきており、法規定の解釈が改正(令和5年4月に自治体に通知)され、児童自身の特性や地域の事情を考慮し、各市町村がニーズに応じて柔軟に判断できるようになったようです。
<今後の動き>
現行法では依然として、原則0〜2歳児を対象とされているので、3~5歳児のみの小規模保育事業を可能とする児童福祉法の改正案が、令和6年度中に提出され、令和7年度以降の施行が見込まれているようです。
【参考リンク】
3~5歳児対象の「小規模認可保育所」、政府が設置検討…多様なニーズに対応 : 読売新聞
小規模保育所における対象年齢拡大措置の全国展開について(こども家庭庁 令和5年11月28日)
人口減少地域等における保育所の在り方 (厚労省 令和3年10月11日)
<存続に当たっての論点整理>
細かくみれば、様々な課題があると思料しますが、例えば過疎地域の実情にあった小規模保育の公定価格見直しが進展すれば、令和7年度以降も小規模保育事業として、経営継続できる可能性が出てくるかもしれません。
ただし、児童数の減少はこれからも継続的に進行していくため、短期的に継続できても将来にわたって持続可能か、児童にとって望ましい保育環境を提供できるか(そもそも、”鹿角市の児童にとって望ましい保育環境とは?”の定義が必要)、といった点と、保護者・利用者側からみた子育て環境、地域への影響とのバランスも十分考慮する必要があると思います。
また、以下のような役割を念頭においたうえで、、、
【自助】保育園の経営ビジョンと児童獲得競争力(民間の場合)
【共助】地域の協力(地域住民による施設の積極利用など)
【公助】行政支援(助成金、政策等の支援)
私たち市議会議員も全体を見渡した上で、単に声をあげるだけでなく、ビジョン、覚悟、望ましい結果を実現するために合意形成への積極的・建設的な貢献が試されていると感じています。