令和3年4月より鹿角市議会議員の笹本真司です。活動情報を発信します!

【考察】羽後町における羽後高校給食提供事業の取り組み概要と、鹿角統合校への給食実施可能性

花輪・十和田・小坂高校の統合にあたり、市民の方から「統合校で給食提供をしてはどうか」というご意見をよくいただきますので、先行する羽後高校の事例をざっと調べました。

記事の一番最後で、過去の一般質問における鹿角市の見解と、その考察から、鹿角市での実施可能性について、自分なりに結論出してみたので合わせてご覧ください。

<ポイント>

高校は県立なので基本的には県の予算で実施する性格のものだが、生徒数の減少する羽後高校の存続と魅力アップの観点などから、町の取り組みとして事業化

給食センター(小中学校に給食提供)の能力に余裕があるので、そこを活用。

・事前調査で約7割の生徒が希望と見込まれた(全員ではなく希望者への提供)

・生徒の食費負担は一食あたり250円

 

<羽後高校給食提供事業概要>

・提供元:羽後町立学校給食共同調理場(R元年稼働 調理能力約1200食 )

・羽後町の事業予算:約1000万円(うち一般財源約650万円、給食費徴収分約350万円)※R4当初予算より。初年度は2学期から実施

・一食あたりの生徒の負担:250円(食材費として、令和4年度)※初回は67名が摂食

・その他:給食提供は希望者へ。職員にも提供

羽後高校で給食の提供始まる 県内の全日制公立高校で初|NHK 秋田県のニュース

学校給食だより 秋田っ子給食 NO-71 http://www.akigk.or.jp/pdf/akitako-no71.pdf

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<給食導入経緯>

羽後高校で給食提供 県内全日制初、羽後町が予算化へ|秋田魁新報電子版より

昨年(2021年)7月、町内の教育、経済関係者、同校OBらで構成する「羽後高校の活性化を考える会」の初会合で構想が持ち上がり、検討を進めてきた。

9月に同校が1、2年生計65人の保護者に意向を尋ねた調査には、40人が給食を希望すると回答。

・令和4年の羽後町当初予算に計上

・令和4年年8月25日より給食開始(希望者へ)

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<羽後高校概要>

在籍者数: 計90名(男子51、女子39名)※令和4年4月6日現在 生徒概況 | 秋田県立羽後高等学校

<羽後町概要>

人口:約13500人(2022年)

一般会計当初予算:約75億円

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<その他参考情報>

ふるさとだより | 羽後町 (2022年8月25日、12月7日に給食関連記事)

羽後町会議員 柴田知之さんのブログの関連投稿リンク

羽後町学校給食費負担金徴収条例施行規則 羽後高校の給食費に関しては別途教育委員会で別途定めるとのこと

R4主な事業等より抜粋 予算 | 羽後町

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最後に、鹿角市での統合校における高校給食実施の可能性を具体的に考えるにあたり、議会での市の答弁を考察してみます。

 

令和 4年第2回定例会(第5号 3月10日)の一般質問における、統合高校での給食提供に関する質問に対する市の答弁内容

①児童数が減っていかない限り、給食センターの調理能力(1日2400食)では対応できない。

②現状では見込みが立たないので、アンケート調査は実施する予定なし。

③学校給食センターには国庫補助等もあり、目的が限定されている。(国庫補助事業について:文部科学省

④それ以外のところに活用するためにはいろいろ協議必要。

補助金の適正化法の関係から年数の関係もあるので、そう簡単にはいかないという認識。

 

<市の答弁内容に関する考察>

①・②に関して

(基本データ)

鹿角市給食センターの調理能力は2400食

・令和3年度の小中学校児童数は約1900名学校基本調査の結果報告書より)

・現状の花輪・十和田・小坂高校の生徒数は合計で600名弱(統合校全校生徒数と仮定)

(考察)

統合校の高校生の全員が給食を希望した場合は、単純計算で1900+600=2500食となり給食センターの調理能力を超える。

7割の高校生が給食を希望した場合は合計2320食となり、調理能から考えるとギリギリ。

鹿角市の推計によれば、令和10年(下記グラフでH40)においては、小中学生数は約1600名と予想されるので、仮に統合校全校生徒が600名としても(実際にはこれより少ないと見込まれる)、合計2200食で約200食分の供給余力。

7割の高校生が希望した場合、合計2020食で約400食分の供給余力。

あとは先生分の給食数も考慮必要ですね。

(結論)

令和10年前後には、実施可能な水準に入るのではないかと思います。

鹿角市立学校等再編計画 (平成28年度~平成32年度)P2より抜粋

※③〜⑤に関して

羽後町議会議員の方にお聞きしたところ、国庫補助等の懸念に関しては、まったく問題なかったとのことです。

秋田県の方も非常に好意的であったそうです。

(結論)

羽後町の給食センターも、鹿角市給食センターも共に平成31年度からの稼働ですので、仮に鹿角市において高校給食を実施するにあたっても、国庫補助等の兼ね合いに関する懸念はまず問題ないと思います

 

※必要経費に関して

(基本データ)

羽後町当初予算では、令和4年2学期から、一食250円徴収(食材費として)、約70名への提供で約1000万円(一般財源650万円、費用徴収350万円)。

(考察)

よって、1年では約1500万円(一般財源1000万円、費用徴収500万円)ほどと思量。

仮に420名への提供で単純計算すると9000万円(一般財源6000万円、費用徴収3000万円)

実際には利用者はもっと少なく、羽後町よりもスケールメリットあり、食費をどう設定するかにはよりますが、それでも一般財源からは最低でも3000万円以上の捻出が必要になるのではと思います。