令和3年4月より鹿角市議会議員の笹本真司です。活動情報を発信します!

【コラム】市政を動かす一般質問 登下校時のクマよけ鈴の効果検証

一般質問には、行政の方針や現状を説明してもらうだけでなく、具体的に行政を動かすor見落としがちな視点を提供することも大切だと思います。

そんな中、今回、印象に残った一般質問は、市から配布され生徒が登下校時に着用しているクマよけ鈴の効果に関する丸岡議員と教育長のやり取りでした。

ーーー※詳細は丸岡議員ブログのこちらの記事の後半部分に記載あります。フィッシングメール - かづの駄日記 ~ kadzuno・da・nikki ~ ーーー

北鹿新聞の記事には、「現状のクマよけ鈴の着用の対策は一定の効果があるものと捉えている」という趣旨の教育長答弁のみの記載でしたが、実際の議場でのやり取りではこの続きがありまして、最後に丸岡議員から、下記のような趣旨の発言がありました。

「こんなことを言うと、現場には鈴の着用を生徒に徹底しろという指示が現場に飛ぶんでしょうけど、市民の方からこのクマ鈴の効果に疑問の声があり、私自身が花輪小の盆坂と館坂で登校する生徒の鈴の着用状況を調べました。その結果、平均して約165人のうち57人が着用という結果でした。約3分の1です。これで本当に効果があると言えるんでしょうか。」

実際、約3分の1の着用率でもある程度効果はあるのかも知れませんし、たまたま花輪小生徒の、かつチェックした時間帯で特に低く出た可能性も否定はできません。しかし、答弁作成の際にはこうした現状は織り込まれていたのでしょうか。この丸岡議員ご自身における調査と具体的な数字の提示は非常に説得力があると感じました。

ここでのポイントは、本来の目的は「生徒が登下校中にクマと遭遇することを回避する」ことであるのに、いつのまにか組織として「クマよけの鈴を生徒に貸与配布すること」が目的になっていないか?「ちゃんとやっているというアピールをすること」だけが目的になっていないか?ということだと考えます。

可能性のある原因としては色々推測できます。(あくまで推測です)

・方針決定段階から着用率に関する観点が最初から抜けていた→政策立案段階での抜け→なぜ?

・現場の職員の中には認識があったが共有されなかったor共有されたが十分な対応がされなかった→組織体質?現場が忙しすぎる?→なぜ?

・そもそも関係者の誰にもそういう視点はなかった

などなど

あくまで推測ですし騒ぎすぎと思われる方もいらっしゃるかも知れませんが、こうした場面で考えられる可能性を徹底的に検証することで、鈴だけでない根本的な課題ももしかしたら見えてくるかもしれません。組織はこういうところで前進できると思います。

今回を契機に本来の目的に即して、対応・検証してほしいと感じました。「鈴の着用にクマよけの効果があるはずだ」という前提に基づいた処置である以上、しっかり効果を出し検証するためには、配布した後に生徒にしっかり着用してもらうことが必要です。

これを自動車に例えれば、こんな感じでしょうか。

・世の中にシートベルトが装備されていない車ばかりで事故時の死亡率が高く、これを減少させる対策が必要ということになった。

・そこで政府は法律改正して全車シートベルトを装備するよう自動車メーカーに義務付けた。

・車は全てシートベルト装備になった。しかし実際の着用率は3分の1だった。

仮に全員がシートベルトをしていれば、しなかった場合と比べての死亡率が75%減少するとしましょう。しかし、実際には着用率が3分の1だったとすると、単純計算で死亡率は25%しか下がりません。

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北鹿新聞12月9日記事より