令和3年4月より鹿角市議会議員の笹本真司です。活動情報を発信します!

【鹿角市官製談合事件2件目】令和元年 鹿角観光ふるさと館大規模改修工事の入札と、契約に当たっての議会での審査に関して検証してみました。

鹿角市が予定価格1億5千万円以上の契約をする際には議会の議決が必要です。これは市の条例に明確に記載があります。議会の議決に付すべき契約及び財産の取得又は処分に関する条例   ですので、限られた案件ではありますが、議会も入札を経て契約する案件に関して最終チェックする機会は存在します。これに関しては、議会が調べる立場にあるのではないでしょうか。

先に投稿したこちらの記事と合わせてご覧いただければ、現段階で一般公開されている資料からだけでも、議会として改善すべきと思われるポイントが複数見られます。議会において特別委員会を設置して一体的に真相究明と改善策を策定するのが妥当と考えます。【共有】議会における入札に対する議員からの言及(平成22年 尾去沢中学校工事、十和田中学校工事) - 笹本 真司@鹿角市議会議員 Sasamoto@Kazuno city, Akita

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2月9日逮捕の官製談合事件では、令和元年かづの観光ふるさと館あんとらあ(道の駅かづの)の大規模改修工事の入札(建築主体工事)に関連しています。

そもそも、この大規模改修工事は建築主体工事、機械設備工事、電気設備工事に3分割されて入札が行われました。それぞれに関して公開されている入札結果情報と、議会会議録から、入札そのものに関する考察と、議会でのチェックに関する考察をしました

※入札結果情報のリンクは、システムの稼働時間午前7時〜午前0時まで有効です。

※うまくダウンロードできない場合は、アドレスをコピーしてブラウザのアドレスバーに貼り付けてみてください。

競争入札の目的は公平な競争機会の確保と、それにより発注価格を抑えることです。価格面の落札条件は設定された範囲内に価格が収まっていることですので、落札率が高いこと自体は問題ありません。そもそもの予定価格の積算が低めであったり、入札に参加した業者のコスト競争力によって落札率が高くなることも考えられます(地域によって適正な算出方法も変わると思います)。ですので、本来の目的に照らし合わせて他面的に検証される必要があると考えます。

1. 建築主体工事入札(予定価格:4億396万4000円、落札率:99.0%)

http://cals05.pref.akita.lg.jp/ecydeen/do/PPI/keiyaku/fileDownload/2019060401.pdf?&uniqueKey1=050090901000000000647

落札した業者は税抜落札価格の上限である入札比較価格より若干少ない額であり、その他の業者は入札比較価格よりも上回っているのでそもそも落札できません。なお、仮に最低制限価格で落札した場合は落札率が約91%となります。

2.機械設備工事入札(予定価格:3億4122万4000円、落札率:91.7%)

http://cals05.pref.akita.lg.jp/ecydeen/do/PPI/keiyaku/fileDownload/2019060402.pdf?&uniqueKey1=050090901000000000646

建築主体工事とは反対に4社のうち落札した業者を含む3社が最低制限価格と全く同じであり、1件目の逮捕案件である令和2年の旧花輪第二中学校の大規模改造工事(機械設備工事)と類似性があるようにも見えます。

http://cals05.pref.akita.lg.jp/ecydeen/do/PPI/keiyaku/fileDownload/2020052104.pdf?&uniqueKey1=050090901000000000791

3. 電気設備工事入札(予定価格:2億2539万8000円、落札率:99.0%)

http://cals05.pref.akita.lg.jp/ecydeen/do/PPI/keiyaku/fileDownload/2019060403.pdf?&uniqueKey1=050090901000000000648

入札に参加した7社のうち、入札比較価格を下回ったのは3社。最終的な落札率は高い印象です。仮に最低制限価格での落札であれば落札率は約91%となります。

※用語の簡単な説明:入札予定価格=落札の価格の上限最低制限価格=落札価格の下限

※入札結果に記載されている各業者の見積価格は税抜ですので、ここで比較すべき落札価格の上限は入札比較価格(入札予定価格ー消費税)となります。

議会での審査

令和元年第4回定例会(第1号 5月31日)

定例会の初日に、議案第47号〜議案第49号 工事請負契約の締結について(鹿角観光ふるさと館大規模改修工事)として3件がまとめて可決しています。議案はその場で説明、質疑ののち、常任委員会に付託はされず、そのまま採決という流れで、質疑に関しては議員から入札に関する質問はありません。結果的に、建築主体工事が官製談合事件となったこと、落札率や落札の状況に関しては、疑問を投げかける余地があることから、

※審査の流れは適切だったか?(常任委員会の付託がないことは適切か)

※議員に執行部から配布された資料は審査するに十分だったか?

※議員18人の意識的なものを含めた審査能力に改善すべき余地はなかったか?

について、検証する余地がありそうです。

補足1 予算の承認

このかづの観光ふるさと館大規模改修事業全体の予算は平成31年第2回定例会(第1号 2月28日)にて、当初予算として承認されています。説明内容としては、

平成31年度及び平成32年度(令和2年度)の2カ年で総額11億1,657万6,000円。

平成31年度の年割額は4億4,672万円、平成32年度は6億6,985万6,000円。

・まちづくり基金繰入金13,100万円の一部を鹿角観光ふるさと館改修事業に充当。

この後、産業建設委員会で審査の上で、定例会最終日で可決成立。この段階ではなぜこんなにかかるんだというような議論はできますが、入札に関しての情報はありません。

補足2 契約の修正

なお工事を進めていく中で、当初の想定と異なっていたり、追加的な要求が盛り込まれることで追加発注や減額による修正が発生します。こちら→令和 2年第6回定例会(第1号11月27日) において、取り扱われています。

・議案第82号 工事請負契約の変更について(鹿角観光ふるさと館大規模改修工事(建築主体工事))
・議案第83号 工事請負契約の変更について(鹿角観光ふるさと館大規模改修工事(機械設備工事))

・議案第84号 工事請負契約の変更について(鹿角観光ふるさと館大規模改修工事(電気設備工事))

 

<参考リンク>

官製談合に関すること/鹿角市

秋田県電子入札システム 契約結果情報