令和3年4月より鹿角市議会議員の笹本真司です。活動情報を発信します!

鹿角市 入札最低制限価格にランダム係数を採用

※記事投稿後、4月11日に要綱が再度改訂されています。

<変更部分>

入札書比較価格に0.95(0.92から変更)を乗じた値より大きくなった場合は、ランダム係数の反映された算定式を用いず、単純に入札書比較価格に0.95(0.92から変更)を乗じた値を最低制限価格とする

これで、変数が適用されます。

最低制限価格および低入札調査基準価格の設定範囲の見直しについて(令和4年4月11日適用)/鹿角市 

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官製談合事件を受けて下記の北鹿新聞記事の通り、工事の入札に際して最低制限価格の算定式にランダム係数を乗じる方式に変更されました。詳しくは鹿角市総務課契約検査室のこちらのページに詳しく記載されていますので合わせて参照ください。→最低制限価格および低入札調査基準価格算定方法の見直しについて(令和4年4月適用)/鹿角市

今回、最低制限価格に関して改定された要素は2つ

①最低制限価格算定の際に一般管理費等に乗じる係数を変更 10分の5.5→10分の6.8

理由)国交相の基準改定に伴う中央公共工事契約制度運用連絡協議会モデルの変更に準じているようです。(参考【中央公契連モデル改正】ダンピング対策徹底へ基準見直しを | 日本工業経済新聞社)全国の自治体でこれに準じていますが、自治体によっては変更点だけでなく、その理由を明記しているところもあります。(例→【通知】会津若松市最低制限価格取扱要領の一部改正について | 会津若松市 )当事者には自明のことかもしれませんが、多くの人に対して分かりやすく説明する姿勢は大切だと思います。

②最低制限価格はこれまでの方式の最後に0.99001から1.00998までの範囲内において無作為に抽出する係数を乗じて得た額(千円未満切捨て)

理由)最低制限価格の漏洩防止

この方式について考察してみると(予定価格も事後公表を前提として)

・有効性

これまでの算定で最低制限価格が1億円の場合、200万円ほどの振れ幅となり、適切に機能すれば一致する可能性は極めて低くなる。ただ、要綱ではここで導き出された値が落札率にして0.92を上回る場合は、落札率0.92相当を最低制限価格とすることになっており、私なりに検討してみたところ、かなりの確率で落札率0.92相当が適用されて、ランダム係数が反映されないのではないかと考えられ、有効性に若干疑問あり。また、運や単純な積算能力以外の要素も大きくなるので、そもそも論でいうと、業者の提示価格が基準価格以下の場合は個別に積算の適正を調査して落札者を決める低入札価格調査制度にするのが一番公平と思います。。。

要綱:https://www.city.kazuno.akita.jp/material/files/group/6/20220330saiteiseigenyoukou.pdf

・係数が恣意的ではなく真にランダムであることの担保
が必要

0.99001~1.00998の間の係数が、職員の恣意的な数字でなくあくまでその瞬間にランダムで出てきていることが保証される必要と思います。

・ランダム係数確定のタイミング(開札当日の朝を考えているようですが)


ランダム係数をどのタイミングで確定するか。電子入札の開札時には最低制限価格が入力されている必要があるので、それ以前にランダム係数も確定しますが、合理的な範囲でなるべく開札の直前が好ましいですね。

・ランダム係数確定後、入札締切までの間の漏洩防止体制

ランダム係数が確定した後、入札の締切までの間に漏洩しないようにする対策も必要ですね。係数確定のタイミングや、漏洩時の実質的な影響がどれくらいあるのかも考慮した上で、合理的な範囲で。

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北鹿新聞 2020年4月1日1面

参考リンク

地方公共団体におけるダンピング対策取組状況の「見える化

国土交通省不動産・建設経済局建設業課 入札制度企画指導室 令和3年10月

https://www.nikkenren.com/news/pdf/oshirase/1610/173.pdf